シニアライフはイメージの書き換えから
- 王丸典子
- 2020年12月31日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年2月26日

シニアに対する一般的なイメージを考えると、ちょっと気持ちがへこみます。
体力減退、病気、年金生活、終活………。
このようなシニアイメージが固定化したのはなぜでしょう。
日本は年齢別カテゴリーがはっきりしている社会です。例えば大学卒業も就職も同年齢の仲間とともに一斉に行われます。
そして定年退職も60歳。現在では65歳に引き上げようという動きもありますが、これもきっちり歳で決まっています。
このような社会では、年齢別の役割意識もクリアーです。
既存のイメージで考えると、シニアは第一線を退いて年金生活を静かに送りながら、余生を過ごすということでしょうか。
でも、その歳になって既存のイメージを考えた時「えっ、ウソ!」と思ったのは、私だけではないと思います。
昔のシニアに比べて、60代前半のヤングシニア(?)は、まだまだ元気です。周りを見渡しても、シニアでありながらシニアという意識のない人も多いように感じます。
アメリカにいると歳を忘れる

一方アメリカは年齢別カテゴリーが希薄な社会で、大学から同年齢一斉卒業や、一斉入社制度はありません。
基本的に定年退職制度もないので、ある79歳のアメリカ人クライアントは今も元気に週5日働いています。
キャリアを変えるために、30代や40代で大学に入る人もたくさんいます。
私も大学院に通っていたころは、自分の息子くらいの同級生に「ノリコ、君面白そうだから今度ランチでもどう」と、誘われようなこともありました。
そんな時は私も「オーケー、ケビン」と応じますが、彼は私を人生の先輩とはちっとも思っていません。100%単なる同級生です。相手がそのように接してくると、私もケビンの年齢はそのうちすっかり忘れます。
先日もかなり年下の友人に「ノリコはこう生きた方がもっと幸せになれるんじゃない」というアドバイスをいただきました。
敬語が存在しないのも年齢別意識を希薄にする一因だと思われます。30代と60代が同じ言葉で話し、気が合えばWe are friends 「私達友達よ」と、なるわけです。
イメージを強固にするメディアの影響力

長いアメリカ生活を終え帰国して驚いたのは、高齢大国だけあって終活だの病気だの年寄り向けテレビ番組のなんと多いことでしょう。
ましてご丁寧に出演者の年齢が表示され、そのたびにいやでも自分の年齢に照らし合わせます。
テレビコマーシャルも日本とアメリカでは随分異なりますね。日本のシニア向けコマーシャルは「禿」「シミ」「たるみ」のオンパレードです。
一方アメリカでは男性機能向上薬や、シニア向け美容整形などが美シニアセクシーモデルを使って宣伝されます。
それにしても、テレビはイメージを植え付けるのに最強の媒体です。
幸せはシニアイメージを変えることから

私の周りにも既存のシニアイメージに収まりきらない人がたくさんいます。
そしてもっと多くのシニアが真にキラキラ輝くには、シニアに対する新たなイメージが必要なのではないでしょうか。
日本には日本の良さがありますから、アメリカの真似を勧めたいとは少しも思いません。しかし開放的で自由な暮らし方から学べるものはあると思います。
「歳だから」といってやりたいことに挑戦しないというのは、アメリカ文化の中ではあまり見られません。
「年甲斐もなく」と思うとシニアが楽しみを感じる範囲が、大幅に狭められてしまいます。
「禿・シミ・たるみ」のコマーシャルに惑わされてはいけません。堂々と禿・シミ・たるみさえ魅力にできたら、素晴らしいことでしょう。
やりたいことはいくつになっても出来るし、歳下だって友達になると楽しい人もたくさんいると思います。
子供も手が離れ、退職したり時短にしたり、時間的余裕は以前よりあります。様々なことに挑戦する体力もまだあります。
そう考えると、シニアライフは楽しめることにどんどん挑戦する時であり、本当の意味で人生を謳歌出来る時なのではないでしょうか。
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