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​小さなミラクル通信

守秘義務尊重のため内容は著者の経験に基づいた創作です

執筆者の写真王丸典子

心の健康 vs あとまわし

更新日:2021年4月19日


心配性や気持ちが沈みがちの人の中に、どうしてもやらなければいけないことを先延ばしにして苦しむ人がいます。


気の進まないことを先延ばしにするのは、私を含めて多くの人が経験することだと思います。しかし先延ばしパターンが日常化すると社会生活や家庭生活にも影響して、しまいには気分の落ち込みや不安感を常に感じるようになる場合もあります。


ある30代の男性はフリーのライターです。最近不安感が強くひどい時にはミニパニックのような状態になるといいます。自分では全く心当たりがなく、仕事も私生活も上手くいっているのにどうしてだろうと不思議がっています。


この男性は自然科学系の事柄を取材し、記事にする仕事をしています。これまでいくつかの受賞経験もある有能なライターのようで、月に平均4から5個記事の締め切りがあり忙しいそうです。


仕事に対する気持ちを聞いてみると、一番好きなのは取材に出ることで一番気が進まないのは記事を書きだすことだそうです。「書き出しちゃえば良いんです。そしたら勢いで最後まで絶対書けるんです」しかし男性はいつも締め切りの前の晩までグズグズして書き出しません。


私・カウンセラー 取材が終わって書き出すまで何をしているのですか。


男性 競馬が好きだから、競馬場にいったり。ゴロゴロしながらDVD観たり。友達と呑みに行ったりですかね(嬉しそう)


私・カウンセラー 取材が終了時からその記事を書き上げるまでの間どんな気持ちですか。


男性 取材が終わって、自分にご褒美のような気持でそうしてるんだけど、なんだかそわそわ落ち着かない。遊んでいても100%楽しめなくて、何か忘れ物をしているような気持ちです。


私・カウンセラー 取材が終わってから締め切りまで平均何日位ですか。


男性 2-3日ですかね。


私・カウンセラー 実際に記事を書く時間はどの位ですか。


男性 短い記事だと2-3時間、長い記事だと7-8時間位だと思います。


私・カウンセラー 恒常的なあなたの不安感は多分その仕事のやり方から来ていると思います。取材のあと記事にしなくてはいけないのは分かっているけど、取材も終わりホッとしてるんだからちょっと楽しもうと思う。でもプロジェクトは終了していないので、どこかで気にしている。これが積み重なり心の負担になっていると思います。


男性 えーっ、そんなことぐらいでミニパニックになったりするんですか。


私・カウンセラー はい、あなたが気にしながら遊んでいる間、心は常にストレスを受けています。体は遊んでいても心は遊べない、どっちつかずの状態です。ところが長くて7-8時間で終わる作業を先にすれば、あとの数日は完全に心も体も遊べるのです。そこで提案ですが、どちらにしても書かなくてはいけないとしたら、ためしに取材のあとすぐ記事にすることをしばらく行ってみて下さい。


この男性は最近仕事量も増えて、その分気にしながら遊んでいる時間も増えました。すぐ記事を書くことを提案してから2か月後、男性はもうミニパニックにならなくなりました。


男性は「記事を書かないでグズグズすることがあんなに負担になってるとは思いませんでした。いまはとても気持ちよく毎日がすごせています」と最後の面談で報告してくれました。


避けられないことを先にしてしまえば残りの時間を心から楽しめますね。

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